野田市の事件と面会交流

野田市の児童虐待事件の判決が6月26日にありましたが、それは求刑より重い2年半という内容でした。執行猶予がつきますので、収監されるわけではないのですが、それでも 保護観察付き執行猶予が5年と長いものでした。

このような家庭は今もどこかであるはずです。体に危害を与えなくても、夫からのモラハラを受け続けている人が、夫の怒りが自分に来ないよう、子どもの不始末を告げ口することなど、ごく普通にあるでしょう。何しろ私の母が「差し出す母」でしたので、容易に想像がつきます。

この夫婦は一度離婚して、再度結婚し、次女が生まれています。 先日、専門家の集まりがありこの事件について話し合ったのですが 、「おそらく強姦に近い形だったのではないか」という意見がありました。やっと離婚したのに、なぜまた会うようになったのか、その経過はわかっていませんが、もしかしたら恫喝などがあった可能性があります。

私は沢山の被害者の方からお話を伺っていますが、一番多いのは「結婚してから豹変」「子どもが生まれてから変わった」というパターンです。ただ、中には結婚前から恫喝されていた方もいます。なぜそんな怖い人と結婚したのか伺うと、「親きょうだいに危害を加える、家に火をつける、働けないようにしてやる」などと言われて「この人には逆らえないと思った」とお話されます。もうこの時点で支配されているのです。

もうひとつ気がかりなのは「面会交流」です。今は相手方から面会交流を求められた場合、ほとんど強制的に実施されています。これはDV被害者も例外ではありません。「DVは夫婦間であり、子どもは無関係」と言われて「子の福祉のために」実施されるケースがDVの場合は多いです。子どもが小さい場合はひとりで行くことができませんので、誰かが連れて行くか、元夫に家に迎えに来てもらうしかありません。「夫に家に来てもらう」は、DV離婚の場合ありえません。FPICの仲介はどこでもやっているわけではなく(大都市のみ)、料金も母子家庭には気軽に頼めるものではありません。

中には「子どもを連れ去られるのでは」と心配して、結局母親も一緒の面会交流になる場合もあります。復縁を迫る夫にとっては、またとない機会になるでしょう。そんなときに元夫から迫られたらどうでしょう。大体地方の場合、移動は個室になる車なのです。

今回の判決は裁判所も「心の支配そしてコントロール」を充分理解しておらず、判決はその結果だと思われます。このことについて、武蔵大学の千田有紀先生が記事を書いておられます。

https://news.yahoo.co.jp/byline/sendayuki/20190411-00121877/

断る技術

知り合いからどうしてもとお願いされたとき、断ることができない方は多いです。じゃぁお前はどうかと言われたら、時と場合とお願いごとによります。これはもうアサーションの技術なので、いくつか断る口実を持っていればなんてことなくお断りができます。

つい最近とても親しい友人からお願いごとではないのですが、「あなたにとてもいいものを勧める」と言って健康食品をお勧めされました(よくあるでしょ?こんなこと)。その健康食品の説明前に日本の食品事情の悪さをひとしきり言って、自分はあるメーカーの補助食品を使っているが、食品だけでなく、化粧品も洗剤もそのメーカーを使っているそうで。

もうこの時点で「来るな」と身構えましたね(笑)この手のお誘いは始終ありますから、もう私のツールから断り言葉を選んで出す準備です。

何度も「自分は長年食べていて調子がいい」「両親も使って長生きした。きょうだいも使っている」「有名な○○さんも使っている」「今まで人に勧めたことはなかったけれど、あなたには試してほしいの」「アスリートだって病気をしないわけではないのよ。池江璃花子だって病気になったでしょ(うわぁ、論理飛躍。池江璃花子はこれを食べていたら病気にならなかったとでも?)」「加齢はリスクなのよ(そりゃそうだ)」

たぶんこのあたりの口上は、彼女が行っているという「セミナー」とやらで話を聞いているんだろうなぁ。普段の彼女が使わないような言葉が出てくるもの。 池江璃花子の病気がこんなことに使われてる。 年をとると「あれがいい、これがいい」の話はうんざりするほど聞くので、いちいち買っていたら、身がもちません。さて、お断りしましょ。

「勧めてくれてありがとう。でも、今は必要ないので、悪いけどお断りするわ」
この会話の後、私をその「セミナー」とやらに連れて行くつもりだった彼女はちょっと肩を落としましたが、それ以上勧めることはなく、
「わかった。でも、必要なときは言ってね」「うん、お願いするね」「必要なときは必ず言ってね」「うん」「必要になったら・・・」

くどい!!

とは言わず、終始笑顔で「ありがとう、よろしくね」を続けました(ため息)

お断りする時の鉄則は「笑顔で言うこと」「びしっと言うこと」です。これで壊れる関係ならば壊れてもかまいません。長年のつきあいがある大切な人だけど、彼女が私とのつきあいを取るか、健康食品を売ることを取るかです。売る方を取るならば、それでさようならです。選ぶのは私ではなく彼女です。

ただ、長いつきあいで彼女がそのドロドロしたものを飲んでいたのは知っていましたから、本当に良いものだと思っているのでしょう。私に勧めたのは良いものだからかもしれません。

このような「本当に良いものと信じていて、それを人に勧める」のを断るのは割と簡単で、同じようなものに宗教の勧誘があります。相手は心から信じていますから、断った相手には「こんなに良いものの誘いを断るなんて、馬鹿だなぁ」と思っています。断った相手に対して憐れだと思っていますので、怒りはしません。

困るのは損得で売りつける人です。断れずに保険屋の友だちが勧める保険を片っ端から入っている人もいます。相手から見たらカモネギでしょう。こういう方たちには断るテクニック以前に「捨てる勇気」が必要です。

サラ・コナーリターン

サラ・コナーについて書いていたら、なんと今秋新しいターミネーターが公開されることになったという記事を発見。ターミネーター2以降、出演をしていなかったサラ・コナーが60代になって戻ってくるそうです。

こちらと同世代のサラ・コナーが何をしてくれるのか、言ってくれるのか、そして息子のジョンとはどうなっているのか、楽しみです。

母なるサラ・コナー

先日、見るともなしにたまたまついていたテレビ番組(波瀾万丈)に鈴木紗理奈さんが出演していて、「サラ・コナーが大好きだったんです」と言ったので、えっとビックリ!ここでサラ・コナーの名前が出てくるとは思わなかった。

サラ・コナーは私が子育てをしていたときに目指していた人です。といってもサラは実在の人物ではありません。シュワちゃんの「ターミネーター」に登場していた主人公です。

「ターミネーター1」ではターミネーターから追いかけられて、ただひたすらキャーキャーと逃げ回っていた女子大生のサラが、自分の息子は未来で人類を救うジョン・コナーになるのだと知り(その時まだ子どもは生まれていない)、 格闘技、武器の使い方はもちろん、ITスキルを使ってATMからお金を盗みだす方法まで、ターミネーターと戦うためのあらゆる技術を息子に教え込みます。

そして未来からはこのジョンとサラを過去の時点で抹殺すべく、新しいターミネーターがやってきます。。。

という、「タイタニック」を作ったキャメロン監督が制作した映画です。この時のシュワちゃん、若い!

よく「男の子には父親が必要だ」という言葉を信じて離婚をためらう方がいますが、なぜ男の子には父親が必要と言われるかと言えば、男の子には男性モデルが必要ということでしょう。子どもは身近な大人をモデルにして育つ、だから「男の子には父親が」ということになるのでしょう。

では身近な男性であるモラ夫は、そのモデルとしてふさわしいでしょうか。「男の子にはモデルとなる男性像が必要だ」という言葉を信じて離れるのをためらうのであれば、「自分の子どもがモラ夫をモデルにすることを望む」ことになります。

「反面教師にすればよい」という希望が叶うかどうかはまったく賭けのようなものです。

男の子のモデルは別に父親でなくてもいい。叔父さんでも、学校の先生でも、部活の先輩でも、アニメの主人公でもいい。この子が大きくなっていくときに「こんな大人になりたい」と思う男性に巡り会えたら、それで充分なはずです。

シングルマザーの家には父親はいません。でも、母親だけでもサラのように(人類を救うなんて大それたことは望まないって)「子どもに生きる力を身につけさせる」ことはできると思うです。

子どもにはサッカーもスキーも車の運転も旅のノウハウも勉強も私が教えました。子どもがギターを弾きたいと言った時は、私はギターができませんので、安い個人の教室を探して行かせました。自分ができないところはアウトソーシングすればいいし、ある程度おおきくなれば、子どもが自分で探してきます。

夫が子どもに教えたのはゲームとパチンコぐらいのものです。ただ、「人を力で支配して自分の思い通りに動かそうとするならば、結局自分が不幸になる」ということは、身をもって教えたと言えるかもしれません。

王座の譲渡

私が離婚を迷っていたとき、背中を押してくれたのが精神科医の言葉でした。

「男の子は父と殺し合うかもしれない」

それはもうびっくり仰天でしたが、この「殺し合う父と息子」は何もモラハラ家庭だけでなく、普通の家庭でも起こりうることです。実際私の周りでも、殺し合うまでは行かないまでも、殴り合いの喧嘩になったという話は多く聞きます。ただ、モラハラ家庭は父親の支配がものすごいのと、父の政権への執着が常軌を逸しているので、大事になる可能性はあります。

相談を受ける方から「夫はとても子どもを可愛がります。子どももとても夫になついています。だから離れることをためらってしまいます」と伺うことがとても多いです。ただ、この時の子どもの年齢はだいたい小学校低学年までです。

その後、子どもに自我が芽生え、自己主張するようになると、夫は力で押さえつけようとして子どもに手をあげるようになります。子どももそんな父を恐れて最初はビクビクしていますが、体が大きくなり、年を取り衰えていく父に勝る力を持つようになると、殴り合いの喧嘩になります。そして、たいていは新しい王が誕生することになっています。政権交代です。

これを私は間近で見ていました。我が家ではなく義兄宅でしたが、このとおりのことが起こりました。子どもに負けた義兄は翌日朝から急にペコペコしだし、息子に「何か欲しいものはないのか?」などと手をこすらんばかりに言ったと義姉から聞きました。このコントのような展開に、義姉も呆れ顔でした。

ただ、義兄の腹いせは義姉と娘という、他の弱いものに向かうようになっていったとのことです。モラ夫はどうしても常に誰かを餌食にしないと生きていけない人物なのです。

「夫は子どもをとてもかわいがっている」というのは、子どもが自分の言うことを聞いている年齢までです。その後はふたりでこの家の政権を争うことになります。ただ、ある3世代が同居している家で、政権を持っているのは祖父で、中年の父はまだその支配下にあるという事例も見たことがありますので、交代が起こらない場合もままあるようです。

この家の場合、祖父が孫を猫可愛がりして甘やかしたため、両親は子どもを躾けることができず、子どもは両親を見下し、成長してからモラハラ夫になってしまいました。

本来家庭内の政権は力による譲渡ではなく、子がその年令になったら、父は座を下りて次の世代に譲るのが正しいやり方であるのは言うまでもありません。そういった平和に世代交代が行われる家は家族がみな穏やかで、「父は優しい人だった」と、亡くなった後も愛され続けます。